2015年5月19日深夜。
多くの人が寝静まる午前2時。私は横須賀市にある核燃料の製造工場へ向かいました。株式会社グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン(GNF-J)。1967年に設立された民間の核関連企業です。
長年、こちらの施設を監視し続けているという地元の方から、核燃料の輸送が本日行われる可能性があるという情報が入ったからです。輸送先は新潟県の東京電力柏崎刈羽原発とのことでした。
現地に着くと、まだ誰もおらず辺りは静まり返っていました。
その時点では、特に厳重な警備とかも無く、本当に今日何か起きるのかな?と疑問に思う程でした。しばらく様子を見ていると一台のパトカーが入って来て入り口付近に停止。緊張感があたりに広がりました。
雨が降る中、横須賀でこの核燃料製造工場を長年にわたり監視し続けている方々、原子力空母や放射能問題等を提起したり、活動したりしている方々がひとり、ふたりと増えて行き、私を含め一般市民は9人が集まりました。大手新聞記者の方も一人来ていました。
午前2時50分。閉ざされていた門が開き、中から警備員の方達が出て来ました。しばらくすると誘導する車が続々と出てきて、市民団体の方達から声があがりました。
「柏崎原発に燃料を送らないでくださーい!」
緊迫したムードの中、大きな音を立てながら大型トラックが一台、そしてまた一台と連なって出発します。最初暗くて良く見えませんでしたが、トラックの荷台部分と後ろにはしっかりと放射性物質のマークが付いていました。
ガイガーカウンターで計測していた方のところへ駆け寄ると、トラックがくる前よりもトラックが通った時は数値が10倍の0.4μSvになったと言います。確かに手元の線量計をみるとその数字をさしていました。通常この周辺の数値は0.04〜0.07μSv位だそうです。
原子力規制委員会の放射線モニタリング情報によると現時点(5月19日20時現在)0.031μSv/h なので大きな誤差はないようです。
トラックが4台でた時点で門はまた一度閉ざされ、3時15分 2回目の搬出準備が始まり、同じくトラック4台が出て行きました。
ガイガーカウンターは最大数値0.459μSv / hを記録しました。トラックがいなくなると線量が下がっていきます。
3時40分 3回目の搬出が始まり、さらに4台のトラックが出て行き、計12台のトラックが柏崎刈羽原発に向けて出発しました。
今回集まった方達の想いもそれぞれで、一概に原発反対だけを訴えたいわけでなく、実際にここで専門に働いている人がいるのだから、再稼働の為でなく廃炉に向けての研究や仕事をしてほしいと願う人もいました。
今回、このような形で核燃料が輸送されていくのを目の当たりにしました。
核燃料はこうして私たちが普段普通に使っている道を使用します。横須賀 〜 今回は新潟まで。夜中だから大丈夫なのでしょうか?
私個人の事を言えば、早朝の仕事が多いので、この時間帯に車で走る事も多く、しかも高速などは、たくさんの大型トラックがスピードをだして走っている時間帯でもあります。そして現地に着くのは多くの車が走る日中です。
テロ対策はもちろん必要だと思いますが、この事を市民が知らされてなくて本当に良いのでしょうか?もし自分の目の前の車が核燃料の輸送車で、もしも事故が起きたとしたら?核燃料の製造中に大きなトラブルが起きたら一体どうなるのか・・・。
万が一の対策を事前に把握できる環境を、まずは希望します。
皆さんは、自分の町に原発や核燃料の製造会社があったらどんな風に思い、どんな事を希望しますか?
株式会社 グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン
東京電力 平成27年度使用済燃料等の輸送計画について
http://www.tepco.co.jp/cc/press/2015/1249293_6818.html