この動画の要点
- 「BEYOND 2026 Pre Event Okayama」が開催され、地域企業と社会起業家がこれからの地域に残すべき「豊かさ」について議論しました。
- 登壇者は「豊かさ」を単なる経済的指標ではなく、人生における選択肢があることや、自分が誰かにとって重要であると感じる「マタリング」の実感であると定義しました。
- 岡山という地域の特性として、自然・文化・産業のバランスの良さと、そこから生まれる独自のイノベーションやコミュニティの可能性が語られました。
- 4名の社会起業家によるピッチが行われ、高齢者のエンターテインメント、介護ボランティア、障害者雇用、オルタナティブ教育といった多様な社会課題への挑戦が紹介されました。
全文書き起こし
武田憲和(株式会社ちゅうぎんフィナンシャルグループ サステナビリティ推進部): 結局、今後やっていかないといけない豊かさって、僕は選択肢だと思っているんですよ。結局これしかできないとか、この方向にしか行けないとか、限られたものではなくて、いろんな選択肢でチャレンジができる。チャレンジをしながら失敗しても、また失敗した中にまた次の選択肢があって、それにさらにチャレンジしていけるような、そういった場作りをしっかりやっていくべきかなというふうに思っています。
元々は、我々のちゅうぎんフィナンシャルグループの経営理念が「豊かな暮らしを共創する」というのがあって、豊かってそもそも何なんだというのをちゃんと考えてみようよということだったので、今回プレイベントに登壇させていただいたという流れですね。一番はやっぱり、その選択肢があることっていうのが重要だよねというのは、もうこれずっと僕が言っている話で、確信だと思っています。要はその選択肢があることによって、選ぶ人と選ばない人がいるけれども、選ばないなら選ばないでいいと思うし、選べること自体が重要なのかな。障害者支援にしても、障害者の方にできることが増えた時に、それをやって生き生きと生きるか、それともそれをやらないという道を選択するか。その選択肢があること自体で豊かさに近づけるのではないかなと。それをやったことによって豊かさを実感できる人もいれば、やっぱり価値観の中で豊かさを実感できない人もいるかもしれないんですけど、でも、どんどん失敗しても失敗してもいろんな選択肢が出てくると、探し続けられるじゃないですか。
原田岳(株式会社taliki 代表取締役): 岡山で目指す豊かさとビジョンとは何かというテーマなんですね。それに行く前に、改めていろんな地域を渡り歩いてきて、岡山の強みとか、見落とされがちな経済的な価値にならないけど重要な価値、本質的な価値だよねみたいなところ、今武田さんが言った「いろんな選択肢があるよね」みたいなところも含めて、どう感じられるかお聞きしたいなと。
猪熊真理子(株式会社OMOYA 代表取締役): 私が坂出で育っていた頃は、岡山は都会だったんですよ。買い物に行くのだったら高松に出るか、マリンライナーに乗って岡山に行くみたいな感じだったんですけど、東京に出て大都市圏を見るじゃないですか。やっぱり戻ってきて、東京と比べれば例えば岡山とか広島ってやっぱり中核都市に見えるけど、さっき武田さんおっしゃったように、すごくバランスのいい県だなというのをすごく思っていて。自然もあるし文化もあるしものづくりもある、農業もある、大学もある。岡山イノベーションコンテストとか審査員させていただいていると、ディープテックも強いしとか。やっぱりそういうイノベーションの種みたいなものはあるんだけれども、さっきおっしゃったように結構平均点に近いから、尖って見えづらいのかなという感じはしています。
逆に全国回っていると、もっと過疎化した地域って尖らざるを得ないんですよね。なんで例えば岡山の中でも県北だったら西粟倉村みたいなところがあって、そこだとやっぱり森林という自然資源に尖る。森林という自然資源とソーシャルイノベーションに尖るからこそ、独自性は出るけれども、それはやっぱり過疎地域というか人口が少ない地域だからこその、その50年100年先を考えた地域作りができるような気がしていて。ある意味すごく都会的な要素もあるから、どういう戦略というか地域のビジョンを描くかというのがすごく難しいのかなというのは一部で感じるところとしてあります。地元愛とか郷土愛ってあるじゃないですか。さっきの出ていっちゃうけど、出ていってもいいけど戻ってきてくれる、その根源は何かって言った時に、それが例えば自然資源だったり、そこにある暮らしの営みだったり、そこに暮らしている人の面白さとか豊かさとか愛情とか。そこが根っこにあるから、出ていっても戻ってくるんですよね。心が幸せでウェルビーイングで、この土地が好きだ、ここがふるさとだと思って愛情を持って育つと、やっぱりそこに何かしら恩返ししたい、その地域に住めなくても何か経済的に恩返ししたいとか、そういう循環に繋がっていくのかなと思っています。
船倉隆央(岡山大学 研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部): 地域の豊かさって何だろうって考えたんですけど、個々人の人の豊かさの束が多分地域の幸せになるんだろうなという仮定を一旦置いてですね。その上で人の豊かさって何だろうというところを、結構学術的に、一応ウェルビーイング研究をここ半年くらいやっている身からすると、そもそもウェルビーイング指標ってすごく多義的なので、AI使って調べただけでウェルビーイングとはこれですよという指標が少なくとも100以上あるんですね。いくつか共通するものがありまして、大体共通しているのが「関係性」というのが出てくる。人と人との関係性というのがどの指標にも大体入っているんです。あとは自律性とか有能感みたいなところ。自分で選べるとか自分でできるとか、そういう指標が割と共通点としてありまして。学生たちが生き生きと地域でいろんなものを作っているのを見る、これはなんか豊かかもしれないなというのがありまして。それを言語化してみると、自分がこういう価値を作れた、役に立ったという「貢献実感」みたいなものと、あとは誰かから「ありがとう、いいね」と言われたフィードバックがあるという、この両方が満たされた時に幸せそうに見える。そういう理論ないかなって探したら一つありまして、「マタリング(Mattering)」という、自分は何かにとって重要だと感じる心みたいなところがマタリング。一人ひとりのこのマタリングが高まること、マタリングそれ自体を増やすことが地域の豊かさに繋がるんじゃないかというところです。
豊かさってウェルビーイングと同じくらい多義的な言葉だと思っています。地域の豊かさを考える上で欠かせないのが一人ひとりの個人の豊かさだと思っています。その個人の豊かさというのも人に寄るんですよね。しかも短期的な豊かさと中長期的な豊かさ、いわゆる快楽的な豊かさと生きがいというところとで分かれるように、これも違ってくる。じゃあどうしたらいいかって、定義を考えるよりは豊かさを生み出せる条件を考えた方がいいと思ってまして。なのでさっきPBL(課題解決型学習)を増やして社会起業家と一緒にやってみましょうと言ったのはそれで、私はそれが豊かさを増やす条件だと思ってまして。理論を考えても結論出ないので、とにかく条件を考えて小さく試していくということを地域全体でやっていけば、結果として豊かな地域になっているような気がするので。大学ってそれすごくやりやすい場所だと思っていて、別に経済価値を生まなくても学びになれば大学って受容されるので。なので大学起点で豊かさを、一人ひとりの豊かさを生み出していきたいなと思っています。
司会: 株式会社ぐらごる代表取締役、山根颯太様、よろしくお願いいたします。
山根颯太(株式会社ぐらごる): 現在我々がやっているのは、高齢者を中心にプレイヤーがいる「グラウンド・ゴルフ」というスポーツを軸に事業を展開しております。エンタメとか楽しみみたいなところのアップデートがちょっと置いていかれているんじゃないかなというのを感じました。おじいちゃんおばあちゃんが最前線に立って、みんなの主役になれるような世界を僕たちは作っていっています。ぜひ老後が楽しみになる世界を創る。
鈴木亮平(株式会社プラスロボ): 「スケッター」という有償ボランティアのマッチングプラットフォームを運営しております。「お手伝い経済圏」とか「地域互助経済圏」とかそういう言い方をしてるんですけど、まさにお金を稼ぐ文脈じゃないところの、もう一個の経済圏。何か地域の困りごとがあった時に、その地域住民で解決できる仕組みをもう一回作り直す。それがこのスケッターのプロジェクトです。
原田岳: 今回のサブテーマにもあります「地域企業×社会起業家」の共創事例を、もっともっと起こしていくためには何が必要なのか。豊かさを最終目的として、先ほどのような豊かさをちゃんと作っていく。その手段として産業を盛り上げるか、稼いでいくか、グローバルとローカルが繋がっていくみたいなことがありつつ、どのように地域企業と社会起業家の共創事例を増やしていくのかというところをちょっと話していければなと。
武田憲和: まず社会課題って何だろうなと考えた時に、今ある社会課題で残っているものというのは、基本的にお金になりにくいとか、非常にお金が寄りにくい部分だからこそ残ってきていたり、新たに資本主義の中で外部経済によって出てきているようなものがたくさんあるかなと思っています。そこへ挑んでいる社会課題起業家というのは、基本的には儲からないことを一生懸命やっているわけではなくて、そこにチャレンジすることによって、ある意味ブルーオーシャンへ駆け出していっている、チャレンジしていっているのが社会起業家かなというふうに僕は思っています。その中で地域企業のあり方としては、地域企業はそこの社会課題、地域を良くするための社会課題に対して一つ挑んでみようという気持ちを持ってもらうのも一つなんですけれども、逆にその前段階として、地域企業さん自身が今まで紡いでこられた価値であるとか技術であるとか、そういったものをもっと可視化しないといけないかなというふうに思うんですね。その可視化されたものと社会課題ってどのように結びついていくのかなという、そういったところのコーディネートをうまくしていくということが。なのでブルーオーシャンのマーケットに向けて、地域の力強い価値をぶつけていくみたいな、そんなことができるようになるといいかなというふうには思っています。
猪熊真理子: 私も実践ベース、現場ベースで地域内企業と社会起業家のマッチングとかやっていて一番困るのは、やっぱり企業の皆さんって売上とか業績とか社内説明とか、成果を何に置くかということが結構クリアじゃないと、中で通しづらいんですよね。一方で社会起業家ってまだ市場になるかどうかわからないビジネスに挑戦していて、かつKPIで測りづらいものも成果として追っている可能性もあるんで、評価軸とか時間軸がすごい合いづらいなというのを一つ感じていることで。やっぱりそこをすり合わせて一緒にビジョンを見ることが大事なんですけど、このビジョンでもいつもズレがあるなと思うのは、結構地域内企業の皆さんってビジョンって目標だと思っていることが多くて、社会起業家の皆さんってビジョンって希望だと思っているんですよ。目標と希望って結構差異があって、目標があれば目標のKPIとかここに到達すればそれは成果として叶ったということになるんですけど、希望ってもっと抽象的な概念で、複数のステークホルダーがいて、複数の指標が上がったり下がったりしながら到達していく未来の姿なんで。結構そこの目線合わせというかマインドセットを変えないと、そこのマッチングがうまくいかない。なんで地域のビジョンを描く時に、これは目標じゃないんです、希望だというものをまず一緒に握って、それを地域内企業で評価する場合には、測れる指標としてはこういうもので測るけれども、測れないものも含めて多面的にどうその成果とか活動とか、これを自社で取り組むことの意義をどう測るかということをしっかり目線合わせしないと、やっぱりそこをしっかりと仕組みとして整理して一緒にやっていくみたいなことは現実的には必要だなと感じます。
船倉隆央: AIがこのペースで進むと、さっき話したマタリングの機会がめっちゃ減っちゃうんじゃないかという気がしているんです。つまり合理化が進めば進むほど楽になる一方で、これ別に自分じゃなくてもできるじゃんみたいなシーンが増えてしまうと、それって一人ひとりのウェルビーイングが減ってしまうので、結果として地域のウェルビーイングが減るんじゃないかというような気がしてまして。そこで大学を使っていただければいいと思ってまして、大学に研究者として入っていただいた上で、研究としていろんな社会的な活動をしていただく。と、企業にとってはこれはもう探索行為であり学びであり、人材育成、人材投資であるみたいな大義名分が作れるんじゃないかなと思ってまして。このモデルでやると、社会起業家と地域企業とあと学生がくっついてくるので、スキームとして成立するんじゃないかなと思っております。非常に不確実な社会起業家の事業の探索、その中に、もしかしたら事業のタネが眠っているかもしれないという意味で、いいことが。AI使えば机上の研究って割とできちゃう中で、研究の価値って何だろうというのを考えた時に、やっぱり現場に行って現時現物で手応えを感じながらウェルビーイングを生成していくみたいなところの方が醍醐味が出てくるんだろうなと思うと、大学自体がウェルビーイング製造業みたいな感じになると、また大学の存在意義というところも見出していけるのかなと思ったりもしてます。
原田岳: 多分定義はできないですね。できないと思うので、今お話の中で気づいたのは、この豊かさを再定義するということをある意味行動指針的に、みんなで豊かさとは何かを時代時代ごとに変わっていくと思うので、それを考えながらもアクションとして稼ぐし、産業クラスター戦略作るし、グローバルに行けばローカルにも行ったりとか、そういったアクションをみんなでいろんなものをやっていければいいんじゃないかなと思いました。
谷口佳穂(3volt株式会社 代表取締役): いわゆる働き盛りの世代の障害者の方のうち、約76%が我々一般企業に雇用されて働いている方ってめちゃくちゃ少ないです。弊社「メディアボルト」という事業をやっております。どういう事業かというと、障害者人材の方を企業の方にご紹介をします。で、そのご紹介した方を何の仕事をしていただくかという、その紹介先の企業の業務の切り出しを弊社が行って、それをやっていただきます。我々がやっているのは福祉ではなくて、日本経済の損失をどう止めていくかというところをやっています。
中藤寛人(無花果株式会社 代表取締役): 僕たちはこの映像にあるように、学校作りをしている会社になります。いろんな背景がある子供たちがいると思うんですけど、どんな子供たちでも本当にみんながより良い教育を受けられる世界を作っていきたい、といった思いで無花果という名前で活動しております。より具体的に言うと、フリースクールって聞いたことありますかね。リソースが集まっている世界とか社会を、より作っていきたいなというふうに思っています。
原田岳: なんかすごい岡山が盛り上がってきている感が肌感覚としてもすごい感じているんですね。本当に皆さん思考が多様で、新しいことにチャレンジする人たちがすごく多くて。すごい今盛り上がってきていて、ある意味このエコシステムがすごい飽和してきている感覚があるんですね。その次何を狙っていくのかみたいなところを、今中国銀行の武田さんとかともお話ししてて、なんかそういったものを模索できればなというところと。あとやっぱりこのムーブメント、社会課題解決とか地域課題解決を、もっともっと波及させていく、そんな機会になればいいなというふうに。なんか今国が本当にディープテックとか産業クラスター構想とか、巨大なお金を持って地域に投資していくというところで、スタートアップ生み出していくというのが増えているわけですけれども、この成長が果たしてそのまま成長していくことが正解なのかというのは、なんかちょっと疑問があるんですよね。正しい成長とは何かっていうのをちゃんと考えないと、それこそバブルの高度経済成長期の二の舞になってしまう。なんかそういったものを、適した成長とは何かを考えるために、人間が人間らしく豊かであるべきもの、そういった生活とか環境はどうしたらいいんだというのを考えるタイミングに来ているのかなと思って、今回のテーマにしました。
概要(動画説明欄より)
「豊かさ」って、いったい何だろう?
2026年10月30日・31日に京都で開催されるソーシャルカンファレンス「BEYOND2026」。
そのプレイベントが、岡山・ももスタで開催。
今回のテーマは、
「豊かさを再定義する――地域企業と社会起業家は、これからの地域に何を残すのか」。
かつて「豊かさ」は、GDPや所得、人口増加、利便性などによって測られてきました。
しかし、人口減少や地域コミュニティの変化、孤立、ウェルビーイングなど、数字だけでは捉えきれない価値が、これからの地域を考える上で重要になっています。
岡山のプレイベントでは、
豊かさとは「選択肢」があることなのではないか
一人ひとりのウェルビーイングと地域の豊かさはどうつながるのか
地域企業と社会起業家は、どのように共創できるのか
経済成長だけでは測れない「地域の価値」をどう捉えるのか
そんな問いをめぐって、企業、大学、社会起業家など、それぞれの立場から議論が交わされました。
そして、この問いは岡山だけで終わりません。
BEYOND2026では、社会起業家、企業、行政、投資家、NPO、学生など、さまざまな立場の人たちが京都に集まり、社会課題の解決と、これからの社会のあり方について考えます。
ピッチ、トークセッション、ワークショップ、出展ブースなどを通して、社会課題解決の現場にいる人たちと出会い、新たな問いや共創を生み出す2日間です。
岡山で生まれた「豊かさとは何か」という問いの、その先へ。
ぜひBEYOND2026の会場で、一緒に考えてみてください。
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■ BEYOND2026
2026年10月30日(金)・31日(土)
会場:京都リサーチパーク4号館
▼ BEYOND2026 詳細
https://www.beyondtaliki.info
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【BEYOND2026とは】
「BEYOND」は、社会起業家をはじめとした社会課題解決プレイヤーのためのソーシャルカンファレンスです。
起業家、企業、行政、投資家、NPO、学生など、セクターや世代を越えた人たちが集まり、社会課題の解決に向けて、ともに考え、ともに育てていく場として開催されています。
BEYOND2026のテーマは、「平和は誰が担うのか?」。
社会を支える「見えないインフラ」に目を向けながら、これからの社会を支える仕組みについて考えます。
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