この動画の要点
- ジャーナリストの泰梨沙子氏が、ラオスとインドネシアにおける児童買春および児童の性的搾取の実態を調査しました。
- ラオス北部の中国国境付近では、中国企業による大規模な都市開発が進む一方で、中国人労働者や観光客を対象とした児童買春が深刻な問題となっています。
- 買春宿の多くは中国人が管理・利用しており、現地の警察がこれらを黙認、あるいは組織と癒着している実態が指摘されています。
- 日本人男性が客として現地を訪れている姿も確認されており、この問題が特定の国だけでなく国際的な課題であることが浮き彫りになりました。
- タイで開催された中国のNGO主催イベントにて、これらの現状を報告し、国際社会全体で取り組むべき問題として提起しました。
全文書き起こし
泰梨沙子: 皆さん、こんにちは。DEEP MEKONG 泰梨沙子の東南アジア解説です。私は8月、ラオスとインドネシアにて児童買春、児童の性的搾取の実態を調査してきました。その後、タイではNGOのイベントに参加し、ラオスでの性的搾取の現状を報告してきました。今回は前編・後編の2回に分けて、その様子をお届けしたいと思います。
泰梨沙子: まずはラオスでの児童買春の現状です。これまで複数にわたり、現地での実態や貧困支援の状況について取り上げてきましたが、今回はラオスの中でも児童買春が特に深刻化しているという、ラオスと中国の国境沿いに取材に行ってきました。VTRをご覧ください。
ナレーション(泰梨): 8月上旬、ラオス北部。ラオス北部の中国と接する国境の町。ここは中国企業による大規模な都市開発が行われているエリアで、新しい道路や建物がどんどん建設されています。国境からは中国から建材などを運ぶトラックが次から次へとやってきて、労働者もほとんどが中国人です。街中のスーパーにも中国の商品が所狭しと並びます。昼は人通りが少なく、比較的静かな場所ですが、夜になると様子が一変します。
ナレーション(泰梨): 街中には至る所に買春宿が開き、奥の通りに入ると数十軒ほど並ぶ買春宿の姿が。少女らの年齢は幼く、15歳前後です。中にはもっと幼く見える少女もいました。店先に並ぶのはラオス人やベトナム人ですが、店を管理しているのも買っている側も中国人のようです。ここで撮影をしていると、店を管理する中国人男性に見つかり、しばらく怒号を上げながら追いかけられました。
ナレーション(泰梨): ここは中国人の間で「男の天国」とも呼ばれる買春地帯です。中国人旅行者がSNSで頻繁に買春のノウハウを投稿しています。中には16歳の少女との性交渉前の金銭的なやり取りを投稿している人も。こうした情報を入手し、現地に向かう日本人もいます。実際、ホテルでのチェックアウト時、日本人男性と居合わせました。また、ホテルの従業員によると、過去にはここに1ヶ月滞在していた日本人もいたということです。
ナレーション(泰梨): ラオスでは児童に限らず買春は違法行為です。しかし、ラオス警察はここでの買春について公然の事実として見過ごしている状況となっています。地元民からは、買春から得られる収入は大きく、中国の買春組織とラオス警察は癒着していると非難する声も上がります。実はこの撮影の翌日、ラオス警察に職務質問をされるということがありました。
ナレーション(泰梨): ラオスでは表現の自由が他国と比較してかなり制限されており、政府批判をするジャーナリストや活動家が逮捕されたり、何者かに襲撃・殺害されることも珍しくありません。少女買春という国のイメージ悪化につながるタブーを報じることは、ラオス政府にとっても都合が悪いと見られ、国内ではほとんど報じられていません。出国時に拘束されるのではないかと不安でしたが、1日出国日を早めて無事にタイに到着することができました。
ナレーション(泰梨): ラオスの中国人コミュニティでは、こうした街中での児童買春のほか、オンラインでの人身売買も行われています。私は客になりすまし、ラオスで処女を斡旋している中国人の仲介人とやり取りを行いました。少女らの年齢は14歳から15歳で、店側から写真が送られてきました。ホテルに少女をデリバリーする方式が取られているということです。
ナレーション(泰梨): 翌週、こうした現状を訴えるため、隣国のタイで開催された国際NGOのセミナーに参加しました。主催者は中国のNGO「BATURU」。東南アジアでの女性の人権問題について、アートを通じて社会に問題意識を広めようとしているということです。私はスピーカーとして登壇し、これは単に日本人、中国人、あるいは欧米人の問題ではなく、国際的な問題であること。単一的な国ごとに問題を捉えるのではなく、国際社会が全体で取り組むべき問題だという点を強調しました。イベントにはタイや日本、中国のほか、欧米諸国からの参加者もおり、問題への理解を深めるきっかけとなりました。国籍や国境で切り分けてしまえば、この問題の本質は見えません。子供たちを守るために、私たちは国際社会全体でこの問題に向き合う必要があります。
堀潤: ラオス中国鉄道というものが2021年に通ったんですけど、それの影響もあって中国人の旅行者もすごい増えて、労働者と旅行者、両方からの需要がかなりあるっていうところで、それに伴ってどんどん広がってしまっているようなイメージですかね。
泰梨沙子: そうですね、はい。
堀潤: 主催が中国の方っていうことなんですよね。どういう思いでああいった活動をされているのかなっていうのも気になりました。自分たちの国が関わっていることだから、自分たちの責任でこうした状況を是正したいと思っていらっしゃる団体の皆さんなのか、またちょっと違う趣旨なのか、どうでしたか?
泰梨沙子: そうですね、最初は主催者が中国人の方なんですけど、中国人がそこまで関与してるってことを知らなかったみたいでした。日本人とかが逮捕されたとか、そういうニュースを英語で見て。なので中国人が関与してるとはそこまで分かっていなかったんですけど、今回そのイベントで、私が今回このラオスと中国の国境で見た状況なども紹介させてもらって。そしたらやっぱり中国人もかなり関与してるんだっていうことを知られてショックを受けられていて、それも含めて今後何か改善していけるような取り組みをしていきたいっていう風におっしゃっていましたね。
泰梨沙子: 中国の間でも言論統制がやはりありますので、知られていないことが結構多いんですよね。こういうラオスと中国の国境でこういうことが行われてるっていうのは、一般の中国の方も知らない方が多いようなので。なので、なかなか報じることが中国国内では難しそうなんですけれど、どんどんこういった海外の、日本のメディアとか他の海外のメディアとかで報じることで、もっと広まって問題意識が高まればいいなと思います。
堀潤: 少女たちですけれども、どういう背景でこの売買に従事させられているのか、その輪の中に入ってしまっているのかっていうのは、現状どうでしたか?
泰梨沙子: そうですね、様々なパターンがあるんですけれど、でもやっぱり15歳未満で売られている状況っていうのは、親がやっぱり売ってるんですよね。自分の意志ではほとんど行かないですよね。あとは友達とか知り合いのお姉さんがやっていて誘われたとか。なので元々はこのエリアに住んでるラオス人ではなくて、ちょっと違う地方、もうちょっと遠く離れた隣の県とか、そういったところから集められているっていうようなイメージもありますね。
堀潤: 今はまだそういう彼女たちを保護してとか、彼女たちの権利を守るための機関がある、活動がある、取り組みがあるっていう状況にはまだ至ってない感じですか?
泰梨沙子: 地域によってこれも違って、ビエンチャンとか一部の地域では団体はいますし活動もしてるんですけど、やっぱりこの中国の影響が強いエリアっていうのが、なかなかラオス側だけでは物事進められないっていう背景もあって、ちょっと難しいなという風に思いますね。
堀潤: 最後に気になるのは日本人の関与。この実態っていうのは客としてどうですか?
泰梨沙子: そうですね、すごい辺鄙な場所なんですよね。あまり知られてないような場所なんですけど、それでも日本人がいたので結構びっくりして。で、過去には1ヶ月も滞在していた日本人もいたっていうことで、日本人が1ヶ月も滞在するような場所じゃないんですよ。言い方が悪いですけど、買春地帯と、あとオンライン詐欺もここは結構ひどいんですね、オンライン詐欺の拠点が蔓延っていまして。なので、あとは中国人旅行者が中国に戻ったりラオスに旅行するために使うようなエリアなので、日本人がこういうところで長期滞在するっていう、あんまりいない、すごいレアなケースなので、ちょっと驚きましたね。
堀潤: 今回は前編ということで、次回後編になるんですね。
泰梨沙子: 次回はインドネシアでの児童買春の実態についてご紹介していきたいと思います。
概要(動画説明欄より)
客を装って仲介人に接触すると、14〜15歳と説明された少女たちの写真が送られてきた――。
ラオスと中国の国境地帯で、ジャーナリスト・泰梨沙子が児童買春と性的搾取の実態を潜入取材しました。
中国企業による開発が進み、新しい道路や建物が造られる街。昼間は静かな通りが、夜になると様相を変えます。現場で見えた少女たちの姿、オンラインでのあっせん、撮影中に追いかけられた経験、そして出国時の拘束への不安。泰が現地で見聞きしたことを報告します。
なぜ子どもたちは搾取の場に置かれるのか。
買う側、仲介する側の責任は、どう問われるべきなのか。
人や物が国境を越える一方で、子どもを守る支援は届いているのか。
取材後、泰さんははタイで開かれたNGOのセミナーでも実態を報告しました。国籍で人々を一括りにせず、国際社会が協力して子どもたちを守るために何が必要かを考えます。
【今回の内容】
・開発が進むラオス・中国国境の街
・夜の通りで見えた性的搾取の実態
・オンラインでの少女のあっせん
・子どもたちが置かれる背景と保護の課題
・取材に伴う危険と、国境を越えた連携
次回の後編では、インドネシアでの児童買春の実態を取り上げます。
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#ラオス #DEEPMekong #8bitNews
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