2016/11/03 文化
【沖縄カルチャー】世界のウチナーンチュ大会:アジアユナイトジャム音楽祭:ニライカナイまつり

5年に1度、今回で6回目の、世界中に散らばった沖縄にルーツのある人たちを沖縄に招待する「世界のウチナーンチュ大会」に参加するために世界各地から飛行機に乗り込んだ人々は、英語で「海外からの参加者」と書かれたパスを首に下げて、沖縄の太陽の下を歩いていた。沖縄ではまだ夏日和の10月26日の午後に世界のウチナーンチュ大会の参加者達は那覇の国際通りをパレードし、手を振ったり踊ったり笑ったりしていた。自分のルーツを求めて沖縄にやってきた人々は、とても幸せそうに見え、自分のルーツを感じることで、彼らの存在は充足感のようなものを得ているようにも見えた。

 
国際通りのスターバックスに入ると、アメリカのイリノイ州からやって来た白人男性がカウンターに座って、ネットでアメリカのメジャーリーグのワールドシリーズを観ていた。彼はシカゴカブスのファンで、100歳を越える祖母が沖縄に住んでいるらしかった。滞在中に奥さんと娘とスキューバダイビングをしに行くと言っていた。

 
その夜、喜納昌吉さんのライブハウスチャクラには、ハワイから世界のウチナーンチュ大会に参加している人たち100人の団体客がやってきたので、私は手伝いで何杯も休み無くビールを注ぎ、注文をとり、無数のグラスを洗って腰が痛くなった。カウンターで飲み物の注文をするとき、彼らの多くは英語ではなく日本語で注文をした。その様子を見て、彼らはきっと意識的に何かに近づこうとしているんだ、と私は思った。ハワイからの参加者たちが沖縄の踊りや唄を披露した後、喜納昌吉&チャンプルーズが演奏をし、ライブハウスは拍手と歓声でいっぱいになり、後には空のお弁当箱とグラスと汚れたテーブルが残った。

 
ライブが終わり、沖縄にルーツを持つハワイからのお客さん達が帰って行った後、知り合いの店に飲みに行こうと思うと、道に迷ったオランダ人がいたので、牧志公設市場の奥にあるゲストハウスまで案内した。休暇中で、沖縄に2泊3日、その後はベトナムに行くと言っていた。沖縄について知っていることは、米軍基地があるということだけらしく、ベトナムはアメリカを追い出した国だから行ってみたいのだと言っていた。私が軍隊は嫌いだと言うと、僕は虐殺は嫌いだけどミリタリーは好きだ、わはは、と笑った。彼は15歳までガーナで育ち、両親がオランダに移住したのでオランダ国籍になり、ドイツに近いオランダ南部の町で看護師をしながら暮らしている。ジャパンでの暮らしはハードだ、と彼は言った。タクシーの運転手はみんなお年寄りがやっているし、レジ打ちをしてるお年寄りもいる。オランダだとああいう仕事は僕みたいに若い人とかがやって、お年寄りはヨット遊びでもしているべきなんだよ、と言った。オランダだと、働かなくたって、病気になったって、生活するためのお金は政府からもらえるから安心して生きていける、と言って彼は自分の住んでいる家や車の写真を私に見せた。

 
翌日那覇のにぎわい広場に行くと、東アジア共同体研究所琉球・沖縄センター主催の第二回アジア麺ロード・アジアユナイトジャム音楽祭がやっていて、広場は多国籍な人たちで賑わっていた。はだしのバンドのホーンセクションが青空の下でゆったりと気持ちよく音を出していて、人々は日陰に置かれた椅子に座ってのんびり音楽を聴いたり、太陽の下踊ったり体を揺らしたりしていた。アフリカのパーカッションと踊りがあり、ネパール人のテンションの高いパフォーマンスがあり、うちなんちゅの唄やラップがあった。素朴で平和な広場での午後。

 
国際通りにあるライブハウスチャクラでは、ニライカナイまつりを11月5日と6日に控えた喜納昌吉&チャンプルーズのメンバー達が忙しくまつりの準備を進めていた。ギターの下地さんの表情は日に日に真剣になっていた。キーボードの石岡さんは、まつりがぼく達の本業だから、是非観ていってほしいと言った。約30年前に喜納昌吉さんとインドで出会い、チャクラで働いている福島さんは、本当のまつりはよ、自然と人間が一体になるものでないといけない、今のまつりは根っこが切れているから駄目なんだ、と言った。戦争よりまつりを、とずっと平和運動をやってきた喜納さん宛には、ニライカナイまつりをやるにあたって画家の黒田征太郎さんから108枚の蓮の絵が届いていた。私は絵をデータ化するために108枚の絵を残らずコピー機でスキャンして、リハーサルを見ながらチャンプルーズのさちこさんの作ってくれたカレーを食べた。昌吉さんは詩人の友人と世界情勢か何かについて話をしていた。

 
また路上に出て、前回沖縄に来たときに楽しくて朝まで飲んでいたバーに入ると、久しぶりに会ったバーテンダーと、彼の友達が前回と同じように酒を飲んでいた。キング・クリムゾンのアースバウンドのアルバムの、午前2時っぽいダーティーな録音が最高にかっこいいとか話していると、世界のウチナーンチュ大会で、南米から来た人たちのためにフラッシュモブでサンバをやった、沖縄に住んで10年目の東京出身の女の人がカウンターに座り、沖縄やルーツや夢について話し始めた。バーテンダーの男の子は、最近夢の中で景色を操れるようになったと言っていた。

 
朝起きてメールをチェックしていると、1年間ワーホリでドイツあたりに行っていた友達から久しぶりにメッセージが来ていて、日本に帰国した、まずは沖縄に行って、辺野古と高江に行ってくる!とのことだった。両親がフィリピンルーツで自分はアメリカ生まれの友人に沖縄のことを話すと、オヤジが海兵隊員で長い間沖縄にいたから、自分は多分行くことはないと思う、だから沖縄の写真を送ってくれよ、と言われた。

 
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はごろも舞うニライカナイまつり2016
日程:2016年11月5日(土)15:00~21:00
2016年11月6日(日)11:00~21:00
料金:前売り3000円 当日3500円 2日通し券 前売り5500円
会場:宜野湾市海浜公園野外劇場
詳細:はごろも舞うニライカナイまつりfacebook page

http://okinawaloveweb.jp/event/63430.html

プロデュース :蜂谷翔子
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