2016/10/06 地域
大王で鬼神で海老なんです。アクアマリンふくしま、新種!ダイオウキジンエビ発見。ゴジラエビもいるよ。

2016年9月。新種のエビが公表され、9月9日に展示が始まったと聞き、アクアマリンふくしまを訪ねました。新種のエビはダイオウキジンエビ。2016年9月8日に、千葉県立中央博物館の駒井智幸博士とアクアマリンふくしまの松崎浩二氏との共同研究による論文が、動物分類学の学術誌「Zootaxa(ズータクサ)」に掲載され、新種として公表されました。

 

ダイオウキジンエビは、約220種が知られるエビジャコ科の中でも最大の種となります。エビジャコ科キジンエビ属に属するダイオウキジンエビは、小さい種類が多いエビジャコ科の中でも最大ということで、「ダイオウ」の名が付き、結果として「大王鬼神海老」という大変強そうな名前になりました。

 

ダイオウキジンエビは最大約25cmの個体が見つかっていますが、ここまで大型のエビが新種で見つかるのは、極めて珍しいとのことです。アクアマリンふくしまの展示個体は約20cmです。学名はSclerocrangon rex、「Sclerocrangon」は「キジンエビ属」の意味、「rex」とは「king=王」を意味します。

 

眼の後ろにトゲがあり、ダイオウキジンエビに似ているオホーツクキジンエビとコウタカキジンエビにはなく、また他のキジンエビ属にも見られない特徴です。これが新種の決め手となりました。

 

地元の北海道知床羅臼町では、ダイオウキジンエビは「ガサエビ」と呼ばれ、食用とされてきました。「ガサエビ」と呼ばれていたのは、刺し網漁で採集される際、殻が固く大きいため、刺し網に入るときに「がさっ」と取れるとのことで、おそらくそこから通称が由来していると思われます。バーベキューやお祭りには欠かせない味で、エビの甘さが強く炭火焼きは最高であるとの声があります。

 

アクアマリンふくしまでは、ダイオウキジンエビの卵の育成を試みており、生体解明に取り組んでいます。2匹の展示個体が灰色の卵を抱いているのがよく見ると分かります。遊泳シーンで腹にご注目ください。またバックヤードでも数匹の抱卵個体を飼育しているとのことです。

 

飼育水温は2~3℃が適温です。自然下では水深700~1000mに生息しており、そのあたりの水温は1~3℃と推測されています。採集も難しくアクアマリンふくしまが世界初展示、世界でも展示例はありません。展示中に給餌を試みましたが、摂餌しませんでした。深海生物なので、暗くして落ち着かせると摂餌するとのことです。最も抱卵個体はあまり摂餌は活発ではないとのことです。餌はサクラエビやアマエビを与えています。

 

ダイオウキジンエビが展示されている「親潮アイスボックス」のコーナーは、このように低温の海、主に知床などで採集される生き物を展示しています。今はどこの水族館も大型の水槽を作るのが当たり前になっていますが、小さくても、色が綺麗であったり、形がユニークであったりと、宝石のような個性を持った生き物を展示したいという意図を持って、このようなコーナーが出来ました。

 

ダイオウキジンエビの他、アクアマリンふくしまが発見し、2015年10月に世界初展示が始まった新種「ラウスツノナガモエビ」や、今まで別種のエビ、ヒゴロモエビとされていたものの、新分布が分かりネーミングしなおされた「ラウスブドウエビ」もいます。次々と新種・新知見が見つかることは珍しいことです。アクアマリンふくしまの功績でもあります。

 

地元、知床での通称が「ゴジラエビ」というエビもいます。ゴジラエビの「本名」は「イバラモエビ」。そのトゲトゲでゴツゴツした体つきがゴジラをイメージさせるのか、地元では「ゴジラエビ」と呼ばれています。1kgで5,000円以上、一匹500~1,000円は下らない隠れた高級エビです。身もプリプリで甘く、とても人気があります。知床では多くは獲れないとのことです。

 

今回、ダイオウキジンエビを新種として世に送り出した、研究員の松崎浩二氏は、「アクアマリンふくしまは、水産業の応援隊でもあります。魚が取れにくくなり、漁業がだんだん元気がなくなっていますが、新種が見つかることで、子供たちが地元の海を見直すきっかけになったり、『おいしい新種』ということで、全国から注目をされることは漁業者の方もたいへん喜んでいらっしゃいます。これからも水族館の展示を通じて、海への関心が広がるような研究を続けていければ、とても嬉しいです。」と話します。今後とも北の冷たい海の秘密に迫る研究に期待したいものです。

プロデュース :西村晴子

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