2016/01/25 政治
【静岡市長選公選法違反事件】市民派選挙の神様、斎藤まさし「無罪勝ち取りたい」 選挙干渉裁判チェックの会が発足

2015年4月に行われた静岡市長選挙で、自民・公明・改革推薦で、現職だった田辺信宏さんの対抗馬として、無所属新人で選挙に挑戦した高田とも子さんの選挙に関連した一連の裁判が静岡地方裁判所で行われている。静岡地裁はこのケースに関連して起訴された、斎藤まさしさん、高田隆右さん、宮澤圭輔さん、井上有樹さんと、略式起訴された、田村幸洋さんと、大石翼さんの、6名のうち、斎藤まさしさんを除く5名に既に有罪判決を下している。

 

 

現在「選挙プランナー」として選挙に関わっていた、「市民派選挙の神様」と呼ぶ人もいる斎藤まさし(本名:酒井剛)さんの裁判が進行中。罪状は公選法違反(事前運動罪と利害誘導罪)。告示前に業者を使い、業者が雇ったアルバイトに「高田とも子です。よろしくお願いします」という文言で呼び掛けながらチラシを街頭配布させていたことを理由に起訴されている。被告人は起訴された高田隆右さんや宮澤圭輔さんに既に有罪判決を下した同じ裁判体(裁判長:佐藤正信さん 裁判官:大村陽一さん、小澤明日香さん)が行う裁判で、一貫して無罪を主張している。

 

 

1月20日に行われた検察側の最後の証人尋問の後に行われた斎藤さんと弁護団の記者会見で、新聞記者が、高田とも子さんに連座制が適用され5年間選挙に出ることができなくなったことについてどう思うかと斎藤さんに質問すると、斎藤さんは、「今、初めて聞きました。非常に残念ですね。」と答えた。「僕がどうしても今回この裁判を勝ちたいと思ってるのは、そういう影響が全部出てくるってことですよね。…今日、僕は宮澤さんと選挙が終わってから初めて口を聞いたわけですけど、彼も議員失職までしてるわけですよ。じゃあ何ができるかって言ったら、これがひどい起訴・立件であるということを明らかにする以外僕はできないと思っている。とにかくこの裁判ではっきりと無罪を勝ち取ることでしか、このことを、高田さんが(5年間選挙に)出れなくなっているということに関しても、宮澤さんが今の窮地に陥っていることに対しても、僕ができることはそれしかないと思っていますから。…何度も言っているように、もしこれが有罪ということになったら、事実上、政治活動の自由はこの国から奪われてしまうということですよ。」と斎藤さんは述べた。

 

 

この事件の特徴の1つは、以前に選挙経験があるかないかで、被告人達の裁判での主張が異なっているという点。起訴された人達の中で、選挙をボランティアで手伝っていた当時現役市議だった宮澤さんと、40年近く日本中で市民派選挙をボランティアで応援してきた斎藤まさしさんは、彼らの行っていた告示前の街頭でのチラシ配りの活動は、投票依頼なしの正当な政治活動であると、無罪を主張。一方で、今回が初めての選挙への挑戦で、政治活動や選挙運動の知識に乏しかった、候補者の兄である高田隆右さんなどは、無罪を主張しなかった。

 
世の中に、①候補者の名前②候補者の顔写真③特定の選挙の掲載された政治活動用のチラシは山ほど存在し、多くの場合、政治団体の機関誌として発行されている。選挙期間中と選挙期間外で、政治団体ができる活動は変化するが、基本的には「1票お願いします」などの投票依頼が無ければ選挙運動ではない、というのが政治活動の常識だった。しかし、今回のケースは、全国でオーソドックスに広く行われてきた活動、つまり街頭でのチラシ配布が立件・起訴されている。「選挙の直前の活動で、明らかに当選を目的としていたことが問題だ」、という見方もあるが、選挙の告示前に選挙を意識した政治活動をするのは常識的なこと。そもそも政治活動と選挙運動に切れ目はなく、政治活動は間接的に誰かの当選を目的としている場合が多い。直接の投票依頼がなくても「当選を目的としている」ことを理由に逮捕・起訴・立件が可能になれば、政治活動が萎縮し、大きな政党などの支援なしに政治家になることを目指す、無名の人々が選挙で勝つことは、今よりも更に難しくなるのではないだろうか。

 

 

この裁判に関連し、「選挙干渉裁判チェックの会:不当な選挙干渉とたたかう裁判を支援する会」が発足。自身も選挙経験があり、被告人の弁護団の1人でもある、第88代法務大臣の平岡秀夫さんと、参議院議員の山本太郎さんが共同代表。警察・検察の不当な選挙への干渉について警鐘を鳴らし、公正な裁判を求めると共に、より多くの人が裁判の傍聴をすることや、裁判費用のカンパを求めている。

 

 

1月20日の公判の最後で、佐藤正信裁判長は、検察側の証人は6名認めているにも拘らず、「裁判を3月いっぱいで終わらせたいので、それに間に合わせる為に弁護団側の証人の数を4人から2人に減らせないか?」、「一体何を立証するために4名の証人が必要なのですか?」などと聞き、「早く被告人質問に入りましょう。」と裁判を急ぐ発言を繰り返した。それに歩調を合わせるかのように、水野朋検察官も同じように裁判の進行を急ぐ発言を繰り返した。

 

次回の裁判は、2月3日、静岡地裁にて。午前9時45分から、弁護団側の1人目の証人尋問、午後1時10分から、2人目の証人尋問が行われる。

 

選挙干渉裁判チェックの会

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プロデュース :蜂谷翔子
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