2015/11/16 地域
宮城県「核のごみ」処分場候補地はいま?《対峙》

環境省は8月下旬より現地調査に入ろうと11月まで計20回調査を行おうとしたが住民の反対運動により阻止された。環境省は妥協点を見出すため11月20日に第一回目の意見交換会を行った。そしてこの意見交換会で明らかになったことは環境省が科学的な安全よりも行政的な進め方を優先していたということである。


意見交換会で環境省の担当部長はこのようなコメントを述べていたとのことである
「用地の問題などで支障の少ない国有地という所から出発しました。これは確かに安全性評価あるいは地質の観点ではないのですけれども我々としては国が責任をもって早くしたいという所からの出発でした。」と述べており安全性よりも行政として早く進めることを優先していたことが明らかになった意見交換会だった。


なお加美町の推薦する東北大学名誉教授で地質学が専門の大槻憲四郎さんは「あの場所はそもそも地滑り地帯であり、加美町、大和、栗原3候補地とも地滑り地帯であり不適地」と意見を述べていた。
又元弘前大学教授で長年放射線施設運営に携わってきた山寺亮さんは「私は長年放射線施設の管理運営に携わってきたが、その常識を根底から覆す誤った計画が進行している。断固反対することが、私の使命であろうと感じた。」(注1)と声を挙げた。


猪股洋文町長は放射性物質汚染対処特措法(特措法)の問題点で二つの矛盾を指摘していた。「本来これは東京電力が排出した放射線であり、責任者である東電が責任をもってこれを処分するべきでありその東電の責任を免責してしまったことが大きな問題点であり二つ目として8000(ベクレル)以下の放射線指定廃棄物処分を市町村に押し付けており8000(ベクレル)以上の国が責任をもって処理すると言っている放射線指定廃棄物を排出した都道府県で処理すると言っているが都道府県で排出したものではなく福島第一原発事故で飛散した放射性物質で稲わらや牧草が汚染されたものであり排出した都道府県で処理するのは全くおかしい」と話してくれた。



【編集後記】
1年間継続して取材した中で行政進行の矛盾を強く感じることが多く、もっと多くのプロセスを踏まえて考えていくべきではないかと感じることが多くありました。
また取材を通じて猪股町長のリーダーシップと地域の人達の地域愛を強く感じる取材となりました。


撮影機材の不具合により一部お聞き苦しいところがありますご了承ください。


注1
東京電力福島第一原発事故で発生した指定廃棄物の最終処分場建設候補地にになった宮城加美町で反対運動が続いている。私は当初、町のエゴではないかとも思っていた。その思いを確かめたくて田代岳の処分場候補地を訪れた。
そこで目にしたのは、山の山頂を45度に数十メートルも深く切り裂いた異常な空間だった。このような山頂のくぼ地に、指定廃棄物最終処分場という放射線施設(放射線障害防止法で定めた放射線施設に該当する施設かどうか不明だが、それと同時以上の安全対策が求められる)を計画するとは。環境省の無知に怒りがこみ上げてきた。
私は長年、大学で放射線施設の管理運営に携ってきたが、その常識を根底から覆す誤った計画が進行している。断固反対することが私の使命であろうと感じた。

放射線施設を文科省に申請して許可を受ける要件として、建屋の敷地内に地滑り、崖崩れ、浸水の恐れがないことを担保する必要がある。しかし加美町の現場は3方向が仰角約45度の崖で、既に小規模な崖崩れが至る所に発生していた。建屋が建設されると推定される平地には土砂だけでなく大小無数の石が転がっていて、平常時でも落石の危険がある。もう一つの方向は、眼下に大崎平野が一望できる険しい俯角(ふかく)の崖で、草木のないガレ場になっている。
狭いくぼ地に崖崩れが起これば、水路はたちどころに埋められて浸水の恐れが出てくる。春先には、なだれなどで雪解け水が滞留して浸水することも想像できる。「周辺に地滑り、崖崩れの恐れがなく、浸水の恐れもないこと」という放射線施設を建てる条件が欠けているのは明らかだ。疑問の余地はなく、私の判断はノーである。現場をを見れば専門家でなくとも、大多数の判断は同じだろう。では、基準に適合させるにはどうすればいいのか。3方向の仰角の崖を地滑りが起きない緩やかな角度まで斜面を削り取ることだが、発生する膨大な量の土石を処理するには費用も長い時間もかかる。緊急にしてい廃棄物を処理しなくてはならない現状を考えると実施不可能である。結論として、田代岳はしてい廃棄物の処分場には適さない。

環境所は、廃棄物処理は緊急を要するので早期に調査を開始させてほしいと主張しているが、田代岳にこだわって廃棄物処理を遅らせているいるのは、むしろ環境省の方である。田代岳を調査の対象から外せば事態がが進行する可能性があるし、そうしなくてはならない。
環境省はさまざまな手続きを経てきているだろうから、差戻すことは大変だとは思うが、今回は住民側に立った、現実に即した弾力性のある行政をお願いしたい。自主的に反対運動に参加している住民の経済的、精神的損失は計り知れない。。無駄に出張を続ける調査員にも国税が払われている。このような無駄遣いは許し難い。今回の反対運動はエゴではない。加美町は当たり前のことを主張しているにすぎない。環境省は早急に白紙に戻して、新しい方向を決めるべきだ。

元弘前前大教授 山寺 亮  (出典2015年11月11日 河北新報 投稿記事より)

プロデュース :今野勇次
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