2015/09/24 社会
広がる 繋がりの場〜沖縄の格差問題と子どもの問題を考える〜/子ども食堂 沖縄

2015年5月30日、沖縄県 沖縄市に県内初の子ども食堂が開所された。

 

毎週土曜日17~19時に開店し1食100円で食事を提供している。当日お手伝いをすれば無料だ。定員は10名ほどで、事前予約制となっている。同食堂は地域の子どもたちを地域で見守り育てるというコンセプトで設立され、子どもが1人でも入れる食堂である。開所前から地元新聞にも注目を浴び、ボランティア希望者や食材の提供が相次いだ。

 

■6人に1人の小学生が、放課後1人で過ごしている 

 

沖縄市こどもの居場所調査報告書の発表によると<放課後 誰と過ごしているのか?>という項目では16.1%(6人に1人)の子どもが放課後ひとりで過ごしていおり、うち小学校1年生の割合は6.4%だった。(市内全小学校1・3・5年各1クラス保護者アンケート調査(全16校)2013年7月推計)

 

「一年生の7月ということは、少し前まで保育園や幼稚園にいたような子が自宅でひとりで過ごしているということですよ。」ももやま子ども食堂の呼びかけ人である鈴木友一郎さんはこの結果に驚いたという。

 

山形大学・戸村准教授による都道府県別貧困率調査(2007年)では、29.1%と最も高く、1992年から2007年に至るまで沖縄の貧困率は常に約30%だ。また沖縄県の完全失業率は最も高く、2014年の完全失業率は全国平均3.6%に対し沖縄は5.4%だった。また非正規就業者の割合は40%台と全国で最も高い。近年子どもの貧困問題が注目されているが、地域によってその歴史や環境は異なる。

 

■安心して子どもを行かせられる場所へ

 

ももやま子ども食堂存在を知ってもらうために、各家庭に対して招待状を送ったり電話での呼びかけをしている。開店の時間が合わなかったり、その日来ることができなかった家庭にはその日作った食事をお持ち帰りしてお届けをする「出前子ども食堂」も行っている。また親御さんが子どもを安心して来させられるように、別の場所で親子でご飯を作るといったイベントの開催も行っている。

 

▼取材と編集を終えて

 

沖縄では第二次世界大戦後、復興が本土よりも遅れたためその影響として現在にも貧困状態が続いている。日本に住む一人一人が抱える「貧困」の背景にはそれぞれ異なる状況がある。経済的に我慢をしている家庭や子ども、若者たちを「貧困」という二文字で表現し指差して良いものかと複雑な思いになる。「貧困」だけが彼らの一面ではないはずだ。貧困であろうとなかろうと、人と人が繋がり、普段の何気ない会話ができるような場が今後も増え続ければと思う。

 

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ご協力:ももやま子ども食堂の皆さま

 

参考/出典:

・「子どもの健全育成事業を阻む課題に本会が如何に対応するかを考える」鈴木 友一郎(2015/5/14)

・ 山形大学 戸村准教授「都道府県別貧困率調査」(2007年)

・総務省「労働力調査」都道府県別完全失業率(モデル推計値)

・一般財団法 南西地域産業活性化センター「沖縄県の就業構造と失業に関する調査研究」(平成26年3月)

 

プロデュース :鳴海ひかり
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