2015/09/03 政治
斎藤まさし公選法違反事件第二回公判:恣意的で差別的な立件・起訴として公訴棄却を求める

5月26日、斎藤まさしさんは4月12日投開票だった静岡市長選挙に関わる公職選挙法違反事件で、「事前運動」と「利害誘導」の容疑で逮捕された。他にも静岡市長選挙に関わった、候補者(高田とも子さん)の兄の高田隆右さん、田村幸洋さん、現役市議の宮沢圭輔さん、それから広告代理店の井上宥樹さんと、その社員の大石翼さんが逮捕・起訴されている。

 

 

静岡地方裁判所にて、7月31日に斎藤まさしさんの初公判があり、9月1日に第二回公判があった。検察官は水野朋さんと岡本あゆみさん。裁判官は、佐藤正信さん、大村陽一さん、小澤明日香さん。

 

 

斎藤まさしさんを弁護する弁護団は、袴田事件の弁護団事務局長だった小川秀世さん、自らも選挙と衆議院議員5期や民主党政権時代に法務大臣を経験した平岡秀夫さんと、酒田芳人さん。

 

 

 

 

高田とも子さんの選挙陣営から逮捕された4人は、選挙が始まる前に、ビラ配りについて「共謀」して、街頭で「高田とも子です、よろしくお願いします」などと呼び掛けをしながら、投票依頼を含まない政治団体のビラ(機関誌)を配ったことが「事前運動」で、ビラ配りに業者を使ったことが「利害誘導」にあたるとされ、斎藤まさしさんを含む選挙陣営の4人と、広告代理店の2人は逮捕・立件・起訴された。

 

 

 

 

弁護団側は、まずはこの「市民派選挙の神様」と呼ばれてきた、斎藤まさしさんの捜査・逮捕・立件・起訴が恣意的で差別的なものだと主張している。その理由は公選法違反については、活動中に警察からの警告に従った場合は警察は選挙運動員を検挙しない、という一般的な理解や、警察庁刑事局長の国会答弁で裏付けられているということ、そして被告人達は今回の静岡市長選挙において(警告が出された当時何が問題なのか警察側は明確にしなかった)が、それでも速やかに警告に従った、にも関わらず逮捕されたということ。また、「仮に、判例で定義された基準に従って判断すれば、現代社会では、『事前運動』と明らかに認められるものが横行している現実、特に、時の総理大臣や閣僚や大物政治家が堂々と『事前運動』を行っているという現実があるにもかかわらず、選挙取締当局は、そうした選挙違反を立件することは勿論なく、警告すら行っていないという有様である。こうした現実を一方で放置しながら、選挙に与える影響がより少ない今回の街頭ビラ頒布行為に係る行為を事前運動として立件するのは、あまりに差別的である」ので、この公訴自体が棄却されなければいけないケースだと冒頭陳述で述べた。

 

 

 

 

無罪を主張している被告人の斎藤まさしさんの最大の懸念は、この裁判で、政治団体による選挙期間外の、投票依頼を含まないビラ(機関誌)配りという全国で広く行われている一般的な政治活動が「公選法違反」であるという判例が残ることで、自由な政治活動が大幅に萎縮してしまう可能性があるということと、その結果として、組織も知名度もない新人の候補者が選挙で勝つことがさらに難しくなるということ。以下は第二回公判後の会見での斎藤まさしさんの発言からの抜粋。

 

 

「第1回公判調書で、この間の1回目の裁判で曖昧だったところが文書で出てきたんです。その中ではっきりその文書には、公判調書って言うんですけど、 これ調書ですから、証拠になるわけですから、証拠の中ではっきり「呼び掛けをしていなくても(ビラ配りが)選挙運動たりうる」と言ってるわけです。これはすっごい大変なことで、もし、これが裁判で認められる、この主張がですね、裁判で、今回の裁判で判例として残ったら、私が最初から、僕らが逮捕される以前から、宮澤さんが逮捕されたときの記者会見で僕は1番皆さんに伝えたのはそこなんですね。こんなことがもし選挙違反で立件されて選挙違反とされたら、もう政治活動そのものが、選挙に出ようとする人、あるいはそれを応援しようとする政党や政治団体の政治活動全体そのものが否定されることになりますよということを、ずっと言い続けました。で、そのことが改めて問題になったわけ。もうはっきり言いますけど取り調べの検事は、私が作った出馬表明ビラと呼ばれるビラそのものが違反である、私にしつこく言ったわけですね。それは違うだろっていうことでずっと議論して、もしそうだったら、そこをちゃんと裁判をやってくれって言ったんですけど、まぁそうは言っている。でも、そのビラを配る行為が選挙運動だと、明確に第一回公判調書に残ったわけですから証拠に。

 

 

これ具体的に言うとですね、今選挙に出ようとする人、特に新人、よっぽど知名度が高い人は別ですけども、選挙が始まる前に、ある一定の期間でもまぁ時間はいいとして、まず名前を知ってもらわなきゃいけない顔を知ってもらわなきゃいけない、そして何よりも政策、主張を知ってもらわなきゃいけない、っていうことをやるためにどうしても印刷物がないとできないです。皆さんわかると思う。大きな選挙ばっかりじゃないわけですよ、例えば市会議員選挙があるじゃないですか、一般の市会議員選挙では本番ではチラシも撒けないんです。ご存知ですかみなさん。名前や顔の入ったチラシは撒けないんですよ。それはやっちゃいけないことになっている。だからみんな選挙が始まる前に政治活動の中で、これまぁ今日本人の了解をあれしてもってないんだけど、こういうものをつくるんですね。(ビラの一例を会場で見せる)あるいは3つに折った政策とか、あれしたものを持って、本人が歩いたり、あるいはそれを街頭で撒いたり、ポスティングをしたり、そういう政治活動がないと、まぁはっきり言って選挙やったって、選挙にならないんですよ。それが実情なんですね。これは多少選挙に携わったことのある人、それから選挙を経験した手伝ったことのある人、候補者になる人はもちろん、こんなのは誰でもわかってる。でそれが、基本的にそういう政党や政治団体の活動が、もしこれが選挙運動だってなったら全部事前運動ってことになるわけですから、全面的に否定されてしまうってことなんですね。できなくなっちゃってことです。もうはっきり言うと、大きな団体の、いわゆる組織票、団体票、持ってない人は選挙に出れないっていう事態、出ても泡沫にしかなれない、勝てる可能性は無いっていう、そういうのが当たり前になってしまう。そういうことしかできなくなってしまうんです。で、これだけは絶対に許せないっていうのが僕の当初からのあれで、まぁはっきり言うと来年(参議院)選挙があるけど、今こんな判例を出された機には、もうはっきり言ってそういうものが無い人は出れなくなっちゃう。出てももう選挙にならないって事態。で、これをずっと言ってきたんです。ここが1番の、僕はこの裁判で、どうしても勝たなきゃいけないと思ってるのはそこなんですけど。

 

 

あの、さっき148条、実はこれが1番大きな問題で、公職選挙法148条を根拠として、僕は今までこういうもの(ビラ)を作ってきました。148条の第一項にははっきり書いてあるわけですよ。「公選法の選挙運動にはこれは入らないよ」明記してある。ここにある「新聞」とか「雑誌」とかってなってなくても、これはここにも書いてある、201条の15っていうところを見ればわかる。これ時代があるのね。148条は古いんです。148条は早い時につくられてる、戦後、最初に今の公選法ができたときにね。で、201条の15っていうのは、確か1985年だと思うんだけど、参議院議員選挙の制度を変えるときに、ここはできてんですね。で、ここではっきり、政党や政治団体の、それまでは判例だったんですね、実際がやられてた、で、はっきりここで法律の条文に、政党政治団体の機関紙、及び機関雑誌はこれに含まれるということが初めて条文で明らかになっている、1985年に。だから、これがはっきり法律に書いてあるから、僕は絶対に違法じゃないと言い続けているわけです。で、あの、それまではね、みんな普通にチラシでやってたんですよ。このあれが明記するまでは、チラシでそれをやってた。でもそれが明記されるようになってから、みんな政党に所属してる人は小さく政党の機関紙の名前を入れるようになった。これがあれば安心だから。政党や政治団体の機関紙及び雑誌だったら、もう完全にそれ(公選法)には触れないっていうことでやるようになった。

 

 

で、今回の僕が配ったチラシに関して言えば、僕が作ったチラシに関して言えば、政治団体届けをちゃんとやって、それから、その機関紙として発行してるんですね。しかも号外でもない。号外でもいいって、まぁ「いい」とは書いてない、「号外も含む」って書いてあるんですよ。もうあれは本誌ですからね。今日また彼ら(検察)はあれは含まれないって言ったけど、「新聞」としては認めないって言ったけど、これ言ったらとんでもないことです。じゃあ今やってる政党や政治団体の活動は全て駄目じゃないかと、印刷物に関して言えば。逆なんですよ、あそこに書いてあることは、制限されるのは、それが駄目なのは、本番に入ってから。選挙運動期間及び投票日当日だけは駄目ですよと書いてある。第3項が。それ以外は、その条件を満たしていなくてもいいですよと普通は理解するはず。どんな選挙の解説書見てもそうなっているはずなので皆さん調べてください。

 

 

今日は逃げたけど、そこ突っ込んで言ったら逃げたけど、そのことを最大の、僕は今回の最大の立件・起訴の最大の問題点はそこにあると思ってます。今までにこういう例はないですから。1度もないですから。」

 

 

この事件の第三回公判は9月28日、午後1時10分、静岡地方裁判所にて。

 

 

会見フルバージョン

プロデュース :蜂谷翔子
Comment

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  • 検察官からの被害者 2020-07-18 11:26:07
    検事は現・東京地検検事の水野さんですね。
    彼は調書作成時から問題がありますよ。何よりも、検事の取り調べを『録画』して、それらも裁判所に提出すべきです。緊急な法整備を望みます。検察官の横暴さが露見できるでしょう。
  • 検察被害者その1 2020-07-18 11:27:00
    検事は現・東京地検検事の水野さんですね。
    彼は調書作成時から問題がありますよ。何よりも、検事の取り調べを『録画』して、それらも裁判所に提出すべきです。緊急な法整備を望みます。検察官の横暴さが露見できるでしょう。
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