2015/06/11 国際
【ネパール大地震】ドキュメンタリーPART3:ヌワコット郡の村々で支援物資を配布

5月6日。地震に襲われたネパールで様々なNGOと地元の人々と協力し、支援を円滑に行うための①「コーディネーション」と、被害の現状を見るための②「現地調査」を終えて、5月6日は③「支援物資の配布」を行う日。配布先は前日に現地調査をしたヌワコット郡の村の中から2つのコミュニティーを選んだ。1つはダリットと呼ばれるアンタッチャブルのカーストのコミュニティー。もう1つはカーストがミックスしているコミュニティー。配布する時に混乱や争いごとが起こらないように、村の人々には事前に支援物資と交換するチケットが配ってある。

 

 

朝にホテルを出発し、支援に向かう前に、ネパールの歴史で初めてネパールを統一したヌワコット王朝の宮殿のある場所へ向かう。山の上にある宮殿も地震のダメージを受けていた。宮殿のすぐそばにあるコミュニティーは、日本の商店街のような感じに慎ましく親密に肩を寄せ合うように建物を並べている。レンガ造りの建物はほぼすべて倒壊していて、人々が手作業で瓦礫を撤去している。ガラガラとレンガが落ちたり崩れる土っぽい音があたりに響いている。

 

 

宮殿の近くには16人の耳の聞こえない子どもたちの通う学校があり、私たちが訪れると、彼らは人懐っこく抱きついたり私たちの手をとったりした。そのエリアで支援のコーディネーションに携わっている女性は、政府は7000ルピーを各世帯に配ることにしたけれど、一括ではなく分割して支払われていて、今のところ各世帯2000ルピーの支援を受け取っていると言った。

 

 

旅行会社で働きガイドとして働く男性は、トレッキングのコースもダメージを受けていて、仕事に影響が出ている。家が倒壊してしまっているため、彼のコミュニティーの約60人の人々は皆野外で一緒に生活している。ほぼ瓦礫になってしまった街の中でポツリとオープンしているお店でミルクティーを飲みながら私たちは話した。どのくらいの時間がコミュニティーを立て直すためにかかるかは、今はまだ何とも言えないと彼は言った。

 

 

ヌワコット王朝付近のコミュニティーを後にし、私たちは支援活動についての報告をするために、ビドゥールの地元の行政官に会いに役所へ行った。彼自身も地震の起きた時に被災した。地震のときに山崩れに遭い、彼は生き残った。右手をケガしていてピンクの包帯を巻いている。ビドゥールでは7300の家屋や建物が倒壊し、まずは瓦礫の撤去に長い時間がかかる。あらゆるところに助けの手を求めていて、今最も急いで取り組まなければいけないのはシェルターの確保だと彼は話した。雨期が近づいているからだ。

 

 

役所を後にして、私たちは山の上にある支援先の村へ向かった。山道はデコボコで、沙羅双樹の木が景色の中をどんどん流れてゆく。支援物資を荷台に満載した雇ったトラックが到着すると、村の人たちが集まり始め、物資の配給が始まる。村の人たちは事前に配られたチケットを手にしている。この村では多くの村人は農業をしていて、地震の後に穀物が泥と混じり、食料の蓄えがなくなり生活が困窮した。JICAの支援によって建った学校も壊れてしまい、学校をまたいつ始められるかは目処が立っていない。

 

 

配給が終わると、女の子が私たちの額に赤い鮮やかなビンディをつけ、周りに集まっている村人達が拍手をした。銀のコップに入ったジュースを1杯いただいた。薄いパイナップルジュースだった。

 

 

1つ目のコミュニティーでの配布を終えて山を下っている途中、トラックが地元の住民に止められた。地面に丸太を転がして、トラックが通れないようにして、口論している。さっき支援物資を配布したコミュニティーよりもカーストが高いコミュニティーの人たちで、彼らは自分たちのところに支援物資がこなかったのに、社会的に立場の弱い、より低いカーストのコミュニティーに物資が配給されたことに対して怒っていた。「カーストが低ければ支援物資がもらえるならカーストなんて変えてやる」と村人は言った。

 

 

いざこざが終わり、次のコミュニティーで物資を配布する。前日に現地調査で出会った人々とまた挨拶をする。大人達が物資を受け取り、子どもたちは周りで遊んだり物資配布の様子を眺めたりしている。ニシムは村の子達に囲まれてiPhoneを見せていた。「私がネパール人だって信じてくれない」と昨日初めて村に行ったときにニシムは言っていた。

 

 

その村を後にし、最後にもう1つの規模の小さなコミュニティーへ立ち寄り物資を配布する。その村では家が全壊。農業が主な職業だけれど、地震の被害とはまた別に、近隣のダムの水が無くなって、畑や田んぼに水が引けなくなっていると村の人たちは口々に言った。

 

 

私たちはヌワコット郡での全ての物資の配布を終えて、ひとまずカトマンズへの帰路についた。ピースボート災害リリーフチームのサイモンとロビンは一仕事終えて車の中で眠っていた。彼らが車の中で眠っているのを見るのは初めてだった。帰り道でもたくさんの人々の営みが見えて、その中に緊急用のテントが混じっていた。復興には長い時間がかかる。

 

 

おわり

プロデュース :蜂谷翔子

Comment

コメントは管理者が承認後に表示されます。

Page Top