2014/10/09 国際
【傘の革命】香港現地ルポ⑩”Happy Birthday”を歌って占拠反対派の住民を迎え撃つ群衆

人口密集地帯のMong Kokの占拠地では、占拠側と地元住民との衝突も起こる。プロテスター達は様々なユニークな方法をとって対応し占拠を続けていて、”Happy Birthday”を合唱することも彼らの手法の1つとなっている。

 

 

日付が10月9日に変わって間もない時間帯に、Nathan Roadで再び”Happy Birthday”が大合唱された。群衆の中心には2人の男性と多数の警察の姿があり、彼らを取り囲む群衆は男性に向かって「落ち着け!」「すごくハンサムだぞ!」「挑発はやめろ!」など様々な言葉を叫んでいた。

 

 

騒ぎの中心にいた男性Chowさん(25)は、Mong Kokに10年ほど住んでいる地元住民で、大通りのNathan Roadをプロテスター達が占拠していることに不満を持っている。道は全ての人のもので、プロテスター達だけのものではないし、交通量の多い大通りではなくて、人々の生活の邪魔にならない別の場所を占拠することだってできるので、プロテスター達は道を空けるべきだと主張していた。プロテスター達はアグレッシブで、逆に彼らの方が犯罪者ではないかと彼は主張していた。人々や街の治安を守る為に警察が必要なのに、香港の人々が警察に対して良い感情を持っていないことが理解できない、そして今の香港にも民主主義はあると思うと彼は言う。

 

 

占拠をすることは実際、Civil Disobedience市民的不服従で、逮捕されるリスクもある。市民的不服従とはガンジーやキング牧師、最近では台湾の立法院の占拠などで実践されてきた、悪法を変えるために市民が敢えて法律を破ったりして法律の改善や権利を要求するという戦術。なので、香港での普通選挙権の実現を市民的不服従を通じて目指しているプロテスター達は当然占拠をやめるわけにはいかない。

 

 

”Happy Birthday”が歌われるようになったのは、ある日プロテスターが反対派を迎え撃つ為にメガホンで何か言おうというときに、メガホンの間違ったボタンを押して”Happy Birthday”のメロディーがメガホンから流れたのが始まりで、今ではそれが定着した。

 

 

一体どこから運ばれてきたのかほとんど知る人のいない道を封鎖しているバリケードは、建築学の学生によって頑丈に設計されているものもあるらしい。エネルギッシュでカラフルでユーモラスなプロテストカルチャーが育っている。

 

 

騒ぎが収まった後、別のブロックでまた”Happy Birthday”が歌われた。そちらは本当の誕生日で、ストリートに友人達と座っていた女の子が白いケーキの上に並んだロウソクの火を吹き消すと拍手が起こった。さらに次のブロックに進むと、DJのセットが設置され、ダークなエレクトロニックミュージックが響き様々な人種の人々がくつろぎ、すぐ先のバリケードの向こうでは制服を着た警察官達が待機していた。

 

 

奇妙なバランスと香港の人々のエネルギーがMong Kokの封鎖された大通りに溢れている。

プロデュース :蜂谷翔子
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