2014/04/08 政治
【マツリゴトの始まり】おまかせ民主主義から参加型民主主義へ:ロビーイング編

あなたは政治に対してどのような印象を持っているだろうか?「政」には「マツリゴト」という読み方があり、政治とは国をつくる為に皆が参加する「マツリゴト」だという捉え方もある。

おまかせ民主主義から参加型の民主主義への移行を目指して行われている、冨田 隆史さん主催のイベント「マツリゴトの始まり」の第3回目が、三軒茶屋のカフェOHANAで4月2日に行われた。テーマはロビーイング。

ロビーイングとはいわゆる陳情のこと。国会議員に物申したいことがあれば、アポありでもなしでも、誰でも議員会館を尋ねてロビー活動をすることができる。数多くいる国会議員の中からどの議員のドアを叩くかというのは、自分がロビーイングしたい問題がどの省庁の管轄なのか調べ、その省庁の下にぶら下がっている委員会に所属している議員への面会を申し込めば、簡単に議員と面会することができる。

効果的なロビーイングというのは、議員と個人的な人間関係を築くことだと国会議員秘書で、去年の夏の参議院選挙で三宅洋平氏の「選挙フェス」のオーガナイザーでもあった岡田哲扶さんは言う。

主催の冨田隆史さんは、政治に対して不満を持っている市民は、国会議員や政治家や特定の政党に対して漠然とした悪い印象を持ってしまっていて、自ら議員達と距離を作ってしまっていると思うと言う。実際に議員会館に足を運んでいざ議員達と面と向かって話をすることで、自分が何者なのかということが問われるし、漠然とした敵意のようなものは役に立たない。話し合いの場では、相手のことを個として認識し、自分のことも個として認識しなければいけない。実際に「マツリゴト」(政治)が行われている場所に足を運んでそこで個として話を聞いたりしたりしに行くということは、今後の民主主義においてとても大きな力になってゆくと考えている、と冨田さんは語った。

冨田さんは今回の「マツリゴトの始まり」でロビーイングをやるきっかけをつくるという目的も含め、「アースデイ永田町」を4月22日に企画している。「アースデイ」(地球の日)とはアメリカ発祥の地球環境について考える記念日。アースデイには各地で環境保護がテーマのイベントが行われる。今回の「マツリゴトの始まり」の参加者達は実際に参議院議員会館に足を運び、議員会館で開催予定のアースデイ永田町に関してのロビーイングを行った。

初めてロビーイングをした参加者たちは、思ったよりも議員や秘書の対応が良かったし楽しかった、とポジティブな感想が多く、ディスカッションでは今後も政治をより身近なものにしていきたいと意欲を見せた。

平和的な政治参加の手段、非暴力コミュニケーションの窓口を1つでも多くしておく必要性を感じているため、このような活動をしている理由の1つだと冨田さんは言う。例えば、戦争に反対するのに反戦運動をすることは否定しないが、群衆が群衆に向かって反戦運動をするだけになってしまうのは危険な状態で、実際に戦争を止めるためには市民が政治家と友好的な関係を築けているかどうかというのは重要なポイントになる。そしてこれは自分と意見の違う相手の話もきちんと聞くといったような当たり前のことができるようになる為の「リハビリ」でもあると冨田さんは言う。自分たちの主張が通れば国が良くなるというのはある意味偏った傲慢な考え方で、人間関係としても主張の持ち方としてもバランスが悪い。政治もあくまでも人間がやっていることなので、相手を個として尊重しながらコミュニケーションしなければならないと言う。

高尾山の自然を守る環境NGO「虔十の会」の坂田昌子さんは、環境保護を叫ぶ人達は署名を集めたりデモをやったりはするが、ダム建設や道路建設など環境を破壊しがちな公共事業を推進する人々と比べて、ロビーイングの数がぐっと少なく、環境保護派の国会議員に任せきりにしてしまっている傾向があると言う。

ロビーイングをしていて冷たくあしらわれるということはあまりないので「騙されることもあるので気をつけて下さいね」と坂田さんが言うと笑いが起きた。議員にももちろん様々な人がいて、決して本音を話さない人もいれば、立場上あまり良くないのだけれど、ぽろぽろと本音を話してくれる人もいると、彼女自身のロビーイングの経験を語った。

1人の人間としてコミュニケーションをする力がとても重要だというのは、政治の場でも普段の生活でも同じことで、あまり政治と日常の生活や基本的なコミュニケーションがかけ離れているものであると思わないことが、政治を身近にしてゆく第一歩かもしれない。

プロデュース :蜂谷翔子
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